三番瀬の保存再生を検討した「円卓会議」の模様 

●三番瀬の概要はこちら
●前の埋立て計画に関する補足調査(平成11年1月)
●第1終末処理場計画地の経緯
●三番瀬再生検討会議のメンバー

◆三番瀬問題、国土交通 省でも独自検討会


   三番瀬に接する塩浜地区 新たに「まちづくり委員会」を立ち上げ

 三番瀬に接する塩浜地区の会社や工場でつくる「市川塩浜協議会」の中に、専門部会として「まちづくり委員会」を立ち上げた。同委員会では11月6日に「まちづくりの方針」などを公表する。 同協議会は、塩浜2丁目の谷本鉄鋼内に事務局を置く。
 当日は午後1時半から組織の説明やまちづくりの方針の内容を発表する。電話は047-396-5444

   三番瀬再生会議の専門家会議 「青潮対策と再生の概念」を議論

 三番瀬「専門家会議」の3回目の会議が11月4日、船橋市内のホテルで開かれ、約3時間にわたって青潮対策と再生の概念の整理について議論した。会議は多くの傍聴者も見守った。
  青潮対策についてはこれまで各委員から出されていた提案や他の地区での実践例などが資料としてまとめられ、それぞれ議論を深めた。
 また、再生の概念では、「円卓会議」から要請を受けたまとめの案を発表。それぞれの項目について意見をかわした。

 会場からの意見も聞いたが、「再生という言葉の認識の統一が必要」などといった意見も出された。

    三番瀬と関連問題で県に要望書 市川市 7月12日

 多くの問題が未解決のまま残されている三番瀬問題で、市川市は七月12日、県知事に対して要望書を提出した。長い間、都市計画決定されているままの下水道終末処理場計画や塩浜地区の直立護岸の改修のほか、旧江戸川の堤防改修や里山・里海公園構想、海辺を自然環境学習の場へ、行徳野鳥保護区の整備にも及んでいる。三番瀬の保全問題は県の円卓会議で議論が進められ、市川でも行徳臨海部まちづくり懇談会で話し合いが行われているが、結論までには、なお、時間がかかりそう。また、国が東京湾の環境保全の施策を打ち出すなど、状況がめまぐるしく変わっており、これらの整理だけでも難問を抱え始めている。
    ◇
 今回提出した要望書は、県にとってはかなりきついものになっている。経緯や現状をあげ、さらに具体的な要望を出しているが、円卓会議などの進行に対して、市川市のいら立ちさえ伺える。
 要望書の項目は、全部で6項目に及んでいるが、実際に三番瀬問題に関するものは下水道終末処理場の取り扱いや塩浜地区の直立護岸の改修問題、三番瀬を自然環境の学習の場にするなどの3つ。このほかは、旧江戸川の堤防整備や市川船橋境に計画されている広域公園の実現化、行徳鳥獣保護区の整備促進などが加わった。
 まだ、円卓会議の結論が出ていないこの時期になぜ市川市が要望したか、戸惑いもあるが、市川市が新たに問題を発掘したり、新しい提案をするきっかけにはなる。しかし、いずれにしても、今回の要望書は唐突という印象が残り、これからの円卓会議や専門家会議に少なからず論議と影響を与えることになろう。
    ◇
 ◆要望の要旨

1 石垣場・東浜地区における下水道処理場計画について、将来土地利用を具体的に進めるため、処理場建設の方針を早期に明らかにしていただきたい、地権者及び周辺住民との話し合いの機会を設けるとともに、検討組織を設置することについて検討していただきたい
2 旧江戸川の堤防改修と親水水辺整備について、水辺空間が災害に強く、しかも、うるおいの感じられるものとなるよう堤防改修を早期に着手していただきたい、特に、旧江戸川のシンボル的な存在となっている常夜燈周辺地区についてモデル事業として早急に進めていただきたい
3 塩浜地区の暫定直立護岸の本格的改修と海岸保全区域の変更について、埋立を行わないことを表明した以上、早期に海岸法に基づく海岸保全区域を実態に合った位 置に変更していただきたい、県において早急に本格的な護岸改修事業を進め、管理をしていただきたい、埋立を前提として暫定的に市が管理してきた直立護岸について埋立を行わないと決めた以上、県が管理していただきたい、当面 の対応として、高さ不足を補う措置を進めていただきたい
4 里山・里海公園のせいびについて、県の総合計画に葛南広域公園として位 置づけられている「大柏・藤原ゾーン」と海域環境やまちづくりについて、多方面 において検討が進められている「三番瀬ゾーン」を併せて「里山・里海公園」として新たな県立広域公園として位 置づけていただきたい、特に、里海公園については海の再生、護岸の改修と合わせて公園緑地用地を確保していただき県立公園として早期に事業化を進めていただきたい
5 三番瀬の海辺を自然環境学習及び研究の場とすることについて、三番瀬及び行徳近郊緑地特別 保全地区を一体として自然とのふれあいの場、体験の場、環境学習の場とすることについて検討を進めていただきたい。また、わが国における浅瀬と干潟の保全再生、あるいは東京湾全体の環境の保全再生に関する調査、研究を行う研究機関の設置について検討を進めたいただきたい
6 行徳近郊緑地特別保全地区(行徳鳥獣保護区)の環境整備促進について、基本計画に基づき、内水交換の改善のための千鳥水門及び連絡水路(暗渠)の改修等の本格的な再整備事業を進めていただきたい、同時に、国設鳥獣保護区及びラムサール条約登録湿地とするよう、手続きを早期に進めていただきたい

    三番瀬委員会の「海域小委員会」 市川航路の浚渫などを了承

 三番瀬の再生問題を検討している″円卓会議″の下部組織である「海域小委員会」(コーディネーター・小埜尾精一氏)の2回目の会議が5月15日、市の勤労福祉センターで開かれた。この日も県や市の関係者のほか、一般 市民も多く傍聴した。

 海域小委員会では、まず前回に続いて、市川航路の浚渫事業と船橋漁協の覆砂事業について報告があった。  市川航路の浚渫は平成3年から毎年行われているもので、約2万立方メートルの土砂を投入する。6月1日から8月末までの予定。県からは浚渫の必要性などが細かく説明された。委員会では浚渫前後で調査を実施することなどで了承された。
 一方、船橋漁協が計画している覆砂事業については、当初運び入れることになっていた小櫃川河口の海砂にはアサリの生息に有害となるサキグロタマツメタガイが含まれるため、前回の委員会から問題になっていたが、船橋漁協ではここからの海砂の導入を変更して、同地の漁場内を耕耘して、余剰土砂を使って実施することを決めた。この覆砂についても「三番瀬にどのような影響を与えるかわからない」とする意見もあったが、漁協代表委員から「覆砂をするとアサリの稚貝が発生するというのが経験的にわかっている」などと主張し、最終的に事業の前後に調査を実施することで了承された。
 同委員会ではこのほか、今年度(平成14)に実施する基礎調査などについて県から報告された。それによると、調査は「海生生物現況調査」をはじめ、「海域環境調査」「鳥類調査」「課題解説策によるシミュレーション調査」「海岸線検討調査」が行われる。その中には稚魚調査や水質調査、底質調査、地形の変化調査なども含まれ、また、三番瀬の現況再現、青潮シミュレーションなどの調査も予定されている。
 委員会の大きな検討課題である青潮の発生について、そのメカニズムや事例の調査、モニタリングなどが報告され、意見を出し合った。

   千葉県の姿勢に痛烈な批判も 4月17日の三番瀬円卓会議

 この日の円卓会議は3回目。まず、三番瀬の再生に関して、各委員の所信や考え方が2分間スピーチという形で行われ、それぞれの立場や出身団体の意向を述べた。この中では、「護岸の状態を早く修復すべき」や「都市型漁業の実験の場となる」「多くの人が自分のこととしてとらえる」「三番瀬の範囲はどこまでなのか、最初に定義すべき」などの意見や「三番瀬は過去にも覆砂してきた人工的干潟である」「再生とは生き返させることで、埋立地を元に戻すべき」などの意見もあった。漁業関係者の意見では「二枚貝の生息を復元して浄化能力を増すことが必要」というのもあった。
 専門家からは「三番瀬について共通 認識がまだできていない。『昔はいい干潟だった』というが、アサリはなぜ減ったのかなど、現状を正確に把握する必要がある」や「三番瀬を再生するための7つの方策」を提言する委員もいた。また、「千葉県で里海再生条例といったものをつくり、長期計画を立てていったらどうか」という意見もあった。中には、「今、三番瀬の自然再生などを議論している中で、千葉県から浚渫事業などの計画があり、これには行政に対する不満と虚脱感さえある」という痛烈な批判もあった。  一方、県から追加説明があった第2湾岸道路についても批判の声が上がった。
 委員からは「第2湾岸については橋の高さが60メートルくらいになるし、それは三番瀬の景観を壊すことになる、外環道路との接続の問題や事業のための山砂の影響も考えられ、三番瀬の再生と簡単にも一致しないと思う」という意見があり、これについて副知事は「第2湾岸については三番瀬の議論がつまっていく中で、イメージが見えてくるとおもう。その中でルート等も決まってくると考えている」と説明。「影響が出そうなら、どうするのか」という別 の委員の質問には「それはその時点で、説明していくことになると思う」と述べるに留まった。
 最後に出された県の事業計画についても批判が続出した。市川航路の浚渫を今年も6月から8月まで行う計画。これは平成3年度から毎年行ってきたという。また、船橋市漁協ではアサリの漁場に覆砂を行う。面 積は0.3ヘクタール。6月から8月にかけて行う計画。
 これらについて委員からは「市川航路を深くすることは三番瀬に対してはマイナスだと思う。県はどうして平気でこんなことができるのか。『人に議論させておいて、自分は好きなことをやるよ』という姿勢と同じだ」、また「この問題は小委員会で議論した方がいい。覆砂も別 の場所から砂を持ってくるのは、キケンだ。きちんとした調査と議論が必要と思う」「みんなで再生計画をつくろうという中で、突然、こういう事業があると説明を受けた。何でこういうことになるのか」など、県の対応に批判が集まった。

 円卓会議は、2つの小委員会の設置を決め、海域問題については早ければ今月下旬にも開催される予定。また、次回の円卓会議は5月26日前後にも開かれることになった。

   第2湾岸道路や終末処理場について 県副知事が説明

 この日の円卓会議では、千葉県の大槻幸一郎・副知事から、円卓会議の結論の取り扱いや、第2湾岸道路、終末処理場計画について県の姿勢を説明した。これは前回の円卓会議から持ち越しとなっていた問題。
 円卓会議の結論について、大槻副知事は「この円卓会議の成果をしっかり受け止めて、実現に向けて県としてしっかりやっていく。最大、努力する」と述べた。これは先の県議会でも堂本知事が同様の主旨を述べているという。
 また、第2湾岸道路については「この道路は湾岸地域の慢性的な交通渋滞緩和のために必要な道路と考えている。国とも三番瀬の自然景観と調和のとれた計画となるよう相談して、理解が得られている。再生計画の実現に影響のないように検討していくことなどを話し合った」と述べ、第2湾岸道路については県として建設していく意向を示した。
 終末処理場については「平成13年度に見直しをして、今年2月に計画変更をしている。これまでの176万人という処理人口を、143人に縮小した。また、1日の汚水処理量 をこれまでの154万万立方メートルから77万立方メートルとした。今の第2終末処理場が46万立方メートルであるから、残りの処理について、約20ヘクタール規模の終末処理場が必要である」と説明、「これについて内陸部で検討しており、まず、今の都市計画の48ヘクタールで考えている。処理水の放流は旧江戸川に放流したい」と述べた。また、これに関連して先に行った地権者に対するアンケート調査では「210名のうち、158名から回答があり、そのうち、129名が協力、または条件付き協力の意向であった。この終末処理場については周辺の環境と調和がとれた処理場にしたい」とも説明した。

   三番瀬問題 「専門家会議」が初会議

 市川沖の三番瀬の再生をめざして、県が進める「三番瀬再生計画検討委員会」(通 称・円卓会議)の下部組織である「専門家会議」が、2月12日に初会議を浦安市で開いた。この日は、再生の概念や検討の範囲、再生計画の検討に必要な資料などについて、話し合った。会場との質議応答も行われた。「専門家会議」は、検討委員会からの依頼によって行われ、その都度、検討委員会に報告される。

 

 「専門家会議」のメンバーは、座長に選任された磯部雅彦・東京大学大学院教授(海岸工学)をはじめ、大西隆・東京大学教授(都市計画)、尾崎清明・山階鳥類研究所(鳥類)、倉阪秀史・千葉大学助教授(環境アセスメント)、佐々木克之・水産総合研究センター(水環境)、風呂田利夫・東邦大学教授(底生生物)、細川恭史・国土交通 省国土技術政策総合研究所(海洋環境)、望月賢二・千葉県立博物館(水生生物)、それに円卓会議の会長の岡島成行・青森大学大学院教授の9氏。
 座長の磯部氏は「この専門家会議は、円卓会議をサポートするとともに、具体的な計画づくりなどの具体案に貢献したい」などと挨拶した。会議は、それぞれの専門分野の観点から、約3時間にわたって討論が行われた。
 会場には環境保護団体など市民が約70人参加、国や自治体関係者も40人出席して、会議の模様を見守った。

    三番瀬専門家会議の詳報 再生の概念などで各論展開

 2月12日に開かれた三番瀬円卓会議のもとの「専門家会議」では、円卓会議の依頼に基づき、「再生の概念」、「検討の範囲」、それに計画の検討に必要な資料など、初会合としての基本的な事柄がテーマとなった。
 おもな論議を再現してみると――(発言者の敬称は略)

 ◇再生の概念について
 佐々木「最近三番瀬はさらに悪化しているという漁業者からの声がある。それはどうしてか、わかったいる方がいい。そのため、要因の解明をした方がいい。会議と併行して調査をした方がいいのではないか」
 風呂田「修復にしろ再生にしろ、そううまくはいかない、そう簡単にはいかないと思う。リスクもある。この再生の検討で、どういう経験をしていくか、どういうプロセスをしていくかが、一番大きな問題だと思う。行政も一般 市民も無期限的に継続していいかなければならないと思う。そこでどういう形で人材育成していくか、そうしないと財産にはならない」
 倉阪「海という自然環境の再生なのか、それとも三番瀬の地域の再生なのか、と思う。地域の再生となると、三番瀬を使っている人の再生も必要じゃないか」
 大西「再生とは、昔いい時代だった所に戻る。三番瀬が昔に戻るのは難しいので、新しい姿をめざすことではないかと思っている。その場合はテーマが広くなってきる。東京湾全体や陸地もそうなる。同時に今回の問題に絞り込んだテーマで討議していくことも必要である。埋立しないということであれば、猫実川のヘドロも残っている。これも議論がある」
 細川「三番瀬はいろいろ痛みつけられた海で、ゆがんでおかしくなっている海である。再生とは、今より少しいい方向に持っていくということではないか。今の海域でいろいろメカニズムがある中で、もう少し素直な、自然な形に持っていく。似たような生態系なのだから、少しいい方向に持っていくのが再生ではないかと思う」
 磯部「円卓会議でも出ているが、今の環境が他の海と劣るものではない。漁業関係からは年々悪くなっているという声がある。再生という概念だが、創造、修復、増強、保存ということがあり、今でも機能しているが、これからはその機能、働きを強くしていくという増強ではないかと思う。それではどんな所を増強していけばいいのかで、意見を出してもらいたい」
 佐々木「アサリや生物がとれるようになるのが、再生ではないか。猫実川は解決できると思う。それ以外に有害物質なんかもあると思う。これは三番瀬だけでは解決できない」
 磯部「具体的な解決群についてはどうですか」
 風呂田「豊かな生物群があり、それを学習に利用できるようにする。陸上の問題が整理されていない、例えば第2湾岸とか、外環などをどうするのか。また、一番大きな市川港や市川航路には、洪水時に江戸川放水路から土砂や生き物が流れてくる。これらついて行政がどういうビジョンを持っているのか、県や国は情報を示していない」
 岡島「県に対してはこちらからどんどん押していった方がいいのでは。こうした方がいい、ああした方がいいなどと言うべきである」
 風呂田「一番大事なのは、パートナーシップだと思う。でき上がったものを知事が県議会にかけるのための案をつくるのだから。しかし、漁協の借り入れ金の問題などもある」
 磯部「行政がどう対応していくのか、これから円卓会議で検討するということと思う」

 ◇検討の範囲について
 倉阪「中心は三番瀬だと思う。でも、地域全体の後背地の土地利用をどうするか、港湾としての利用をどうするかなど範囲は広くなる」
 佐々木「猫実川、江戸川など、三番瀬に注ぎ込む川の範囲まで広がると思う」
 風呂田「江戸川放水路から市川航路、三番瀬と、流れ込んだ生き物がここで死滅する。そういう範囲にまで及ぶと思う」
 細川「影響の仕方で違いがあると思う。ここの海域で何を問題にするかによって逆に明らかになってくる。ここの水域では物質の循環がうまくいっていない」
 大西「後背地は少ないなりにつくっていける、湾岸も陸側につくれる。水際線をめぐる議論を統一していく。猫実川のヘドロや市川航路の深みの取り扱いが焦点と思う。単刀直入で出していったらいいと思う」
 風呂田「最終的にはそれに収斂すると私も思う。でも、何のために再生していくのか、私は漁業だと思う。県においてはどんな漁業で権利関係が発生しているのか」
 倉阪「いろんな計画をたばねるような計画、例えば後背地の都市計画、港湾計画、漁業計画、自然保護計画などで、それを行政計画として承認して、個別 に実現していく」
 磯部「具体的な議論は小委員会になると思う」

    ◇

 その後、会場との質議応答があり、「ヘドロという言葉の定義」「漁業の関係者をメンバーに入れてほしい」「再生は、欧米では復元の意味が一般 的だ」「第2湾岸道路や終末処理場がどういう議論になっているのか」「後背湿地ということが大事」などの意見があった。

    ◇

 また、最後の質議では「第2湾岸の計画が三番瀬に大きな影響を及ぼす。それを抜きにしては議論できない」という厳しい意見があった。
 それに対して、磯部座長は「この検討委員会の出発点として三番瀬の凍結と第2湾岸問題を切り離すということから出発してきた」、また大西氏は「第2湾岸などの関連事業は、むしろ県の問題であり、県がどんなふうに考えているか、大事になってくる」と述べた。

    ◇

 磯部会長はこの日のまとめとして「今日は課題出しとして考えて、これから補足調査を見てもらって、その上でまた論議することになると思う。次回の円卓会議に今日の事を報告し、材料を提出する。それを元に、円卓会議で議論してもらう。今後、複雑になってくると思うが、整理して、また専門家会議が開かれると思う」と述べた。

   三番瀬再生計画、本格検討へ 1回目の検討会儀

 三番瀬の将来を決める千葉県の「三番瀬再生計画検討会議」の1回目の会議が1月28日、千葉市文化センターで開かれた。会長に岡島成行・青森大学大学院教授、副会長に大西隆・東京大学教授が選任された。この日は、検討会議のあり方や今後の進め方などについて話し合った。

 三番瀬の保存再生は、昨年の知事選で当選した堂本知事の選挙公約。これまでシンポジウムなどを行ってきて、昨年9月に「2期埋立計画の白紙撤回と三番瀬の保全」を正式に表明した。また、この検討には、県民参加で公開で進めていくという『千葉方式』も提案。今回の検討会議は、その行方が注目されていた。

 構成メンバーは次の通りだが、会長にはこれまでシンポジウムなどで司会進行をつとめてきた青森大学の岡島氏が予想通 り選任された。

 いわゆる「三番瀬円卓会議」とも呼ばれている検討会議では、関係する様々な人を集めて、三番瀬の再生の方向生を示し、再生計画案を知事に提案する。期間は向こう1年間を予定している。実際の計画は、その後、県当局が策定する。
 検討会議の委員が大人数となっているため、同会議では小委員会と専門家会議に分けられ、それぞれ専門分野での検討を行うことにしている。事務局は千葉県の企画部企画政策課に置かれる。
 1月28日には多くの傍聴があり、少しの時間ではあったが、会場からの質議も受け付けた。関係者によると、会議の進め方はどんな意見でも多くの人の意見を聴き、今後の検討の参考にしていくという『一種の開かれた運営方法』となっているという。
 ただ、委員の中でも、それぞれの立場で、三番瀬に対する考え方が大きく異なり、今後の検討が注目される。

◇三番瀬再生計画検討会議委員

会長 岡島 成行(青森大学大学院教授)住民参加
副会長 大西 隆(東京大学教授)都市計画
委員
 磯部 雅彦(東京大学大学院教授)海岸工学
 尾崎 清明(山階鳥類研究所)鳥類
 倉阪 秀史(千葉大学助教授)環境アセスメント
 佐々木克之(水産総合研究センター)水環境
 風呂田利夫(東邦大学教授)底生生物
 細川 恭史(国土交通省 国土技術政策総合研究所)海洋環境
 望月 賢二(千葉県立中央博物館)水生生物
 歌代 素克(市川市南行徳地区自治会連合会会長)地元住民
 鈴木 英司(船橋市自治会連合協議会副会長)地元住民
 岡本 孝夫(浦安市自治会連合会会長)地元住民
 米谷 徳子(主婦)公募
 千葉  元(会社員)公募
 松岡 好美(大学生)公募
 安室  宏(千葉県漁業協同組合連合会代表理事)漁業関係者
 落合 一郎(市川市行徳漁業協同組合組合長)漁業関係者
 石井  強(市川市南行徳漁業協同組合組合長)漁業関係者
 滝口 嘉一(船橋市漁業協同組合組合長)漁業関係者
 大野 一敏(ベイプランアソシエーターズ)環境保護団体
 大浜  清(千葉の干潟を守る会代表)環境保護団体
 小埜尾精一(三番瀬研究会代表)環境保護団体
 吉田 正人(日本自然保護協会)環境保護団体
 佐藤フジエ(市川商工会議所会頭)地元経済・産業界

◇オブザーバー

 長野  章(水産庁・漁港漁場整備部長)
 奥野 晴彦(国土交通省・関東地方整備局長)
 松原 文雄(環境省・大臣官房審議官)
 尾藤  勇(市川市 助役)
 砂川 俊哉(船橋市 助役)
 山本 尚子(浦安市 助役)
 大槻幸一郎(千葉県 副知事)

    三番瀬問題 国土交通 省で検討会

 三番瀬問題では、国土交通省でも「検討会」を開催した。
 これは「東京湾河口干潟保全検討会」というもので、今年の1月17日に開かれた。主な意見では、「三番瀬は開発による環境改変が進んだ中にあるので、自然干潟とは異なる視点で検討すべき」「三番瀬での土砂供給源を特定するために、江戸川河床の土砂や市川航路で浚渫している土砂の粒径などをさらに調査する必要がある」「底生生物数の変動を評価するには今後とも継続した調査が必要」など。
 同省では、平成13年9月の台風15号の出水時に、江戸川放水路や東京湾の浅瀬などへの洪水流出による、底生動物の生息状況などについて調査を行っているという。
 次回は3月下旬に開かれる予定。

 ◇同検討会のメンバー(学識経験者)
 磯部雅彦(東京大学大学院教授)、清水誠(東京大学名誉教授)、清野聡子(東京大学大学院助手)、二瓶泰雄(東京理科大学講師)、風呂田利夫(東邦大学教授)

  ◆知事の手紙(全文)

 関係者の皆様へ

 私は、東京湾に残された素晴らしい自然環境であり、千葉県にとってもかけがえのない干潟を含む浅海海域であります三番瀬を保全することにいたしました。
 このため101ヘクタールの埋立計画については、「これを一旦白紙に戻し、自然環境の保全と、地域住民が親しめる里海の再生を目指す新たな計画を、県民参加のもとに作り上げる」と9月の県議会で表明させていただきました。
 この埋立地に計画しておりました下水道終末処理場については、現在、代替案などを含め、調査・検討を進めているところですが、はじめに、市川市本行徳の石垣場・東浜地区に都市計画決定しております第1終末処理場計画地において検討を進めていきたいと考えております。
 先日、私は下水道終末処理場の計画地を見てまいりました。
 現地を見て、今までにいただいた地権者や周辺自治会の方々からの都市計画制限の解除や、処理場周辺の環境問題を早急に解決して欲しいとお切実な要望について実感できました。
 下水道終末処理場の計画・建設にあたっては、皆様方のご理解が得られないかぎりできないものであります。
 これからは、地元市川市とともに関係者の皆様方と十分に話し合いながら、環境に配慮した処理場の実現に向けて検討を進めてまいります。
 ご理解、ご協力の程お願いいたします。
    平成14年1月
                        千葉県知事 堂本 暁子

   三番瀬保全 緑の市民フォーラムが意見を募集

 三番瀬の保全運動が高まっている中、市川緑の市民フォーラムで一昨年に続いて、三番瀬の姿を創造する具体的提案などを検討しているが、この三番瀬に関する「新しいイメージ」について、意見などを広く募集している。
 同フォーラムでは2002年3月までに「基本コンセプト」や「具体的提案」などをまとめていく予定。この中で、広く市民に募集していくことになった。
 内容は、三番瀬全体に関することや一部に関することなど、自由。2月の運営委員会で、寄せられた意見を検討する。
 応募先は、郵送は市川市国分4-8-7、ファックスは047-372-8932(いずれも川島さん)、電子メールではfsstar@ma3.justnet.ne.jp(佐野さん)まで。

   第1終末処理場予定地 市が土地利用を検討へ 専門部会を設置

 県知事が「三番瀬の埋立をしない」と表明したことを受けて、市では、現在第1終末処理場の都市計画決定をしている、いわゆる「行徳富士」の場所について、土地利用を検討する専門部会を市役所内に設置することを決めた。都市政策室長を座長に、関連6課の課長で組織する。専門部会はこの場所の将来計画の企画立案や実現化の方策を検討し、また、関係機関や関連部署との連絡調整の窓口をなっていく。
 また、行徳臨海部対策本部などでは10月から「行徳臨海部基本構想」の策定を始めた。この構想には、これまでのまちづくり懇談会でのおけんなどをまとめ、今後はシンポジウムなどを開いて、海域や護岸、市川塩浜駅前周辺地区、行徳近郊緑地特別 保全地区、さらに「行徳富士」の石垣場・東浜地区について、いくつかの将来像をまとめていく。

    南行徳地区の38の自治会 三番瀬再生で市に要望書

 三番瀬の保存に向けて、県が検討に動き出しているが、市南部の南行徳地域の38の自治会でつくる「南行徳地区自治会連合会」(歌代素克会長)が11月16日、三番瀬の再生計画に関する要望書を千葉市長に対して提出した。

 要望は、海の環境を改善することや潮干狩りや海釣りなどの海辺にする、不法係留を船を撤去することなど、8項目にわたっている。

 ◆要望事項
1 ヘドロのないきれいな海をよみがえらせるため、海の環境を改善すること
2 かつてあった砂浜や干潟を再生することにより、潮干狩りや海釣りなど市民が自然に親しみ、心をいやし、親子で楽しめる海辺にする
3 市民の安全や財産を守る本格的な護岸を整備すること。その際、遊歩道を設置するとともに、海辺に降りられる構造とすること
4 不法係留船を撤去すること
5 野鳥の楽園であるべき行徳近郊緑地特別保全地区を、多くの人が自然に親しめる場所となるように整備すること。また、海と野鳥の楽園を一体として整備すること
6 市川塩浜駅周辺を駅前にふさわしく整備すること。また、内陸から歩きやすい歩道を整備すること
7 今後、県の行う海の再生計画づくりに地元である行徳地区と南行徳地区の住民代表をそれぞれ参加させるとともに、地元の意向を十分に反映させること
8 計画づくりから実現までの具体的なスケジュールを示すこと

   三番瀬シンポジウム 干潟の保全と回復、焦点に

 堂本新知事の大きな焦点になっている三番瀬問題と埋立の方向性を探る2回目の三番瀬シンポジウムが、9月7日に市民会館で行われ、パネルディスカッションでは「三番瀬の保全と回復」が一致した意見として、まとめられた。また、堂本知事はシンポジウム終了後、予定にない挨拶を行い、「これから市民や専門家とともに、新しい計画をあせらず、しかし、時間をかけないで、つくっていく」と表明した。9月下旬から開会する県議会で、知事は三番瀬問題の方向性を示すとしていたが、終了後の記者会見では「現在の縮小案を前提とせず、自然の回復と保全のための計画を立てていくことが明確になった。これからいろんな角度から多角的な議論を進めていく」などと語った。

  三番瀬シンポジウム 干潟保全を前提に意見発表

 三番瀬問題を大きく左右する千葉県主催の2回目の「三番瀬シンポジウム」が、9月7日午後6時半から市川市民会館で開かれた。会場には約410人の人が詰めかけ、パネラーの意見に熱心に聞き入った。また、会場との質議や意見交換の時間もたっぷりとられ、多くの人が意見を述べた。堂本知事は冒頭の挨拶に続き、終了後には予定にない挨拶を行い、三番瀬の自然の保全と回復に向けて、方向性を示していくことを強調した。


 
 8月23日のシンポジウムは、市民や自然保護の専門家ら20人の意見発表が行われたが、2回目のこの日は、専門家らがパネルディスカッションを展開した。
 パネラーには、県環境会議の委員長である林雄二郎さんをはじめ、作家でC.W.ニコルさん、滋賀県環境生活協同組合理事長で、琵琶湖の環境保全に取り組んでいる藤井絢子さん、環境省からは小林光・自然環境局長、県環境会議のメンバーで県立中央博物館の副館長の望月賢二さん。コーディネーターは前回と同じ、環境ジャーナリストで青森大学大学院教授の岡島成行さんがつとめた。

 堂本知事は冒頭で「前回や今回の意見や環境団体、環境NGOなどの意見を合わせて、今後の方向性を十分に定めていきたい。みんなで守る三番瀬で、忌憚のない意見を聞かせてほしい」と述べた。

 ◆シンポジウムの主な発言は次の通り。
【岡島】 まず、三番瀬をどう再生していくか。個人的な考えを含めて発言してほしい。
【林】  私は江戸時代の日本が好きだ。そこには自然と一緒に暮らしていくという考えがあった。中国の「天工開物」という思想があった。それを明治時代に忘れてしまって、開発優先にしてきた。その悪い例が猫実川河口の垂直護岸だと思う。これは経済性のみでやっちゃった。今ではゴミ溜めになっている。
【ニコル】 自然の共生は簡単なことだ。むずかしいのは人間との共生で、それが大変だ。日本はリオデジャネイロの条約を締結したのだから、それが自然を食いつぶすと回復が必要である。世界はそれを見ている。環境は誰のためにあるのか、子どもやお年寄りのことを考えたら、美意識が必要だ。
【藤井】 ここの三番瀬は琵琶湖の様子と何と似ているんだろうと思った。琵琶湖は干拓で、湖岸堤が築かれ、終末処理場もつくられた。それが終わった後、様々な問題が多き残った。そこで私たちに何ができるかということになり、石鹸運動となった。流域下水道ではきれいにならないということもわかった。CODは上がったままで、環境ホルモンという問題も出てきた。
【小林】 三番瀬の現状は、渡り鳥の飛来地として重要であり、残り少ない干潟であり、いろんな静物が生息して、水の浄化に役立っている大変すばらしい所と感じている。今の101ヘクタールの開発を前提としないで、里海の再生するという堂本知事の考え方は大変すばらしい。国内では11ヵ所のラムサール条約に指定されている場所があるが、ここはそれ以上にすばらしい場所である。ただ、東京湾全体と三番瀬の果 たす役割を見ないといけないと思う。
【望月】 三番瀬の自然をどう見るか――まず、日本の自然は、人が少しずつ手を加えて、活用して、文化が生まれ、営みがあった。里山がいい例である。それが明治以降、こわされてきた。三番瀬については歴史や経過を見なければならず、県の環境会議の補足調査では開発がどう影響するかを調査してきたが、まだ社会的には理解を得られていなかった。三番瀬は東京湾の中でも相対的にはいい状態で残っている。これを保することは重要なことだ。

【岡島】 では、どういう形になればいいのか。
【小林】 京葉線の塩浜駅から三番瀬へ行くまでの環境は悪い。里海は人の生活の中に、海がある。という意見には賛成である。海と陸の関係も大切だ。
【藤井】 三番瀬に入るつながりの中で、場所と人の知恵がある。
【ニコル】 海と陸の境界線が大事だ。水辺、海辺が一番おもしろい。イギリスでは近年環境がよくなっている。だから、日本ができない訳はない。
【望月】 なぜ、こんなに三番瀬の環境が悪くなったのか。それは川との関係が切れたからと思う。江戸川の水が恒常的に流れ込むような措置が必要だ。浦安の埋立地の形状も大きな要因である。

【岡島】 それでは、方法としてのプロセスはどうか。
【藤井】 せっかくの白紙撤回を掲げているのだから、時間をかけて計画をつくるべきである。全国のモデルになってほしい。
【林】 千葉県環境会議というより、東京湾環境会議じゃないと、議論が煮詰まらない。会議の公開も必要だが、みんなに公開するには、テレビカメラを入れて、誰にでも公開することが必要であろう。
【小林】 大勢の市民がいつでも見ているような海にしてほしい。市民の意見を取り入れて、そういう計画を作ってほしい。
【望月】 自然と人を考えると、今までは人の方がお客さんだった。これからは干潟の維持、管理や保全に人が主体的に関わっていくことが必要だ。


◆会場からの主な意見と質議
【市川市議】三番瀬が汚くなったのは、江戸川に可動堰ができてからである。三番瀬には第1終末処理場の計画や第2湾岸道路の計画もある。それが解決しないので、石垣場や東浜の問題もある。早く、解決してほしい。
【自然保護団体】他ではできなかった市民と専門家とのコンセンサス会議やプロジェクトサイクルマネージメントなど、三番瀬方式、千葉方式をやってほしい。
【市民】かみそり護岸などは千葉県自体が作ったものだ、そこのところをよく考えてほしい。
【市民】三番瀬の保存は、言うのは簡単だが、やるのは難しいことだ。私たちの日常生活を変えるべきである。
【県庁元職員】大きな枠組みが指摘されてはいるが、実践されていない。千葉県だけでなく、国(環境省)もトータルなものとしてとらえてほしい。
【市民】自然の保護と終末処理場や湾岸道路との関係で、これまで自然を破壊する開発は許可しないというルールはあるのか。
【小林(環境省)】日本にはまだそういうルールはない。場所や価値と、その開発の便益を考えて、進められてきた。
【市民】猫実川は水の流れがないといわれたが、江戸川の水を流すことはできないか。
【望月】江戸川の水を流していいのかどうか、わからない。
【漁業関係者】東京湾全体の問題として考えてほしい。このままにしておいて、いいのか。
【望月】三番瀬がこのままでいいのかどうか、はっきり言ってわからない。当分の間は大幅には変わらないだろうが、よくする方法を模索しなければならない。
【市川市議】猫実川の流れがないというのは誤りだ。市川の丸浜川の水が猫実川に合流して、ごーごーと流れている。猫実川河口部は海からの潮の流れで、流れがなくなっている。
【市川市議】猫実川河口部が流れがなくて、死んでいる、ここは埋立ないといけないのか。
【望月】この部分を埋め立てるということも、かなり慎重に考えなければならない。
【船橋市民】少なくとも、今の干潟をつぶして、人工干潟を沖に新しく作るということだけは、絶対にしないでほしい。
【岡島】沖に人工干潟を作るという発言は、どこにありましたか。
【市民】知事は慌てずじっくり意見を聞いて、じっくり検討して頂きたい。
【市民】東京湾全体を考えて、それに流れ込む川の役割、調査をやるのが、国、環境省のやることではないか。
【小林】環境省でも自然創出の公共事業を、国土交通省や農林省とも考えている。それを千葉から考えていきたい。
【漁業関係、船橋】漁業に従事するものとしては、干潟を保全してもらうことはいいことだ。しかし、あまり時間をかけて検討すると、その間にも三番瀬はどんどん悪化していく。そのことも考えてほしい。
◆知事の挨拶
 水辺、海辺といった水と陸の境界が大事という意見があったが、これからの議論の深め方、進め方は、そうなっていくだろうし、そういうしていきたい。みんなが参加して、すべての市民が主体的に関わっていくようにしたい。そういう中で、どうすることが必要なのか、焦らず、しかも急いで検討していく、そこのところがポイントであると思う。
 大事なのは、結果もそうであるが、そのプロセスも大事で、ラムサール条約スポットを実現したい夢を描いているが、大変むずかしいこととも思っている。
 今までは101ヘクタールのための環境問題だったが、これからはどのような千葉モデルを作っていくか、分析とプロセスを始める。

   海岸線に悲惨な爪痕 台風15号(9月11日)

 9月11日に首都圏を襲った台風15号は、市川の塩浜海岸に悲惨な爪痕を残して、過ぎ去った。台風15号は都心から松戸市を通 過したといわれ、市川にも最接近。2期埋立問題で揺れる塩浜1、2丁目の海岸線で、護岸が新たに陥没したり、係留船舶が陸上に打ち上げられた。(写 真は市役所提供)

 台風15号の市内の被害状況は、最接近した割に、軽く、床上床下浸水がゼロ、倒木が74本、屋根や看板の破損などが79件だった。このほか、道路の冠水が2カ所、曽谷・稲越・国府台・北国分地区などで一時停電した。報道によると、倒木の片づけをしていた人がケガをして重体とも伝えられている。
 最も被害があったのは、塩浜地区の護岸。塩浜1丁目の行徳漁協事務所から漁港までの間で、約50メートルが部分的に陥没し、また、塩浜2丁目地先で高波によりボートなどが護岸に打ち上げられた。

   ゲート開けて、危険護岸に釣り人

  埋立問題で揺れる市内塩浜地域。護岸は陥没の可能性があるため、立ち入り禁止になっているが、人が入り込まないようにと設置されている網製のゲートが開け放たれ、休日ともなると、釣り人が入り込んでいる。7月から緊急的な補修工事が始まっているが、市の管理が問題となろう。
 この場所はJR市川塩浜駅に近い海岸べり。昨年の台風の後、至るところで護岸の陥没がみつかり、緊急的に工事が行われることになっていた。
 この場所には、観音開きの網製のゲートが設置され、人や車が入れないようになっていたが、8月17日の土曜には、ご覧の通 り、ゲートは開けられ、中には車が入っている。護岸から釣り糸を垂れて、釣りを楽しんでいるものだが、誰がゲートを開けたかは、定かでない。すぐ脇に『立ち入り禁止』の看板が立っているが、その看板など、なんのそのだ。
 緊急的な補修工事は、今年7月下旬から始まっている。土砂の流出を防止し、護岸の背面 を掘削して、コンクリートを中詰めする。工事費は概算で1億円。この工事に伴って、海面 に不法係留しているプレジャーボートやヨット、仮設桟橋を移動、撤去する。

   三番瀬シンポジウム 知事に埋立反対を訴える

 どうなる三番瀬……市川2期埋立問題で、新たな県の方針を決めるための第1回目の三番瀬シンポジウムが、8月23日、市の市民会館で行われた。20人の意見のうち、大半が「埋立反対」を知事に訴えた。意見発表の真下で聞いていた堂本知事や千葉市川市長らは、神妙な表情で意見に聞き入っていた。
 このシンポジウムは9月7日にも行われ、当日は専門家らによるパネルディスカッションが行われる。
 堂本知事はこの2回のシンポジウムを参考に、9月末に開かれる県議会で、今後の方針を提示する意向だが、この日の意見では「急がないで結論を出してほしい」「拙速しないでほしい」などといった新知事の意向に反対する意見が相次いだ。

   埋め立てしないで現状を保全 三番瀬シンポジウム

 千葉県の主催による三番瀬シンポジウム。当初から、参加者が少なく、また、今さらまたシンポジウムといった市民の意見が多かった。この日は約340人が参加した。
 意見は20人が発表。大半が「新たな埋立に反対の意見」だった。発言時間は5分しかなく、このため「5分で市民の意見が言える訳がない。このシンポジウム自体、問題が多い」といった厳しい意見もあった。
 主な意見では
「保存は再生に優先するという考えが主流で、三番瀬を埋め立てないで復原してほしい。知事は原則をはっきりしてほしい。公有水面 はみんなの海であり、だから大切にしよう」
「今の下水道計画は必要ない。区域の見直しや人口を見直せば、第1終末処理場も必要ない」
「三番瀬はさまざまな鳥が生息する貴重な湿地である。自分の調査でも175種類を確認している。このような場所を埋め立てるのはやめてほしい」
「浦安の猫実川のヘドロは、今までに浦安市と市川市の市民が処置をしないまま、垂れ流したものだ。一日も早く下水道の普及率を100%にしてほしい。そして、徐々にでもヘドロを取り除くことが必要だ」
「この地を埋め立てて、流域下水道をもってくるのは問題がある。流域下水道にはこれまで2,300億円を投入し、また、これからも3,800億円を費やす試算がなされている。第2処理場の機能をアップすれば、第1処理場は必要ない」
「市川の南部には約20の廃棄物処理場がある。外環道路予定地にもダイオキシンなどの有害物質が確認され、いずれ、三番瀬にも流れ出してくるという懸念がある。このシンポジウムはわずか5分の時間では無理で、また、2回目との関連性もはっきりしない。知事の公約の『白紙撤回』の言葉も曖昧だ」
「定期的にゴミ拾いをやっている団体だが、これは三番瀬を大切にしたいという思いからで、知事はもう埋め立てないと断言してほしい。でも、市民の意見を聞くというこのような姿勢は続けてほしい」
「知事の考えている豊かな海というのと、漁業者が考えている魚場の回復というのは同じだと考えている。これまで青潮が発生したが、魚や貝は変死が少ない。浦安から直角になっている地形をゆるやかな曲線にすれば、海はきれいになると思う」
「知事の方針の見直しについては、急ぐべきではない。さきに出された県の環境会議の結論を尊重すべきである。県民が支持した知事は、埋立を中止すべきということだと思う」
「埋立をしないで自然の条件を残し、ラムサール条約で保全してほしい。第2湾岸道路は渡り鳥に影響が大きい。人口干潟も選挙公約に違反していないか」
「不法係留ボートなどを撤去してほしい。直立護岸周辺のゴミを処理すべき。新浜鴨場を一般 開放すべき。橋の残骸などを整備すべき。直立護岸の護岸を、傾斜階段護岸を併用して、水辺を歩けるようにしてほしい」

  どうなるこれから三番瀬問題

 三番瀬の埋め立てや臨海部の整備について、千葉市長が二月下旬、環境省と千葉県に対して、相次いで要望書を提出した。市民団体や環境保護団体が「2期埋め立て反対」を主張する中、市長の姿勢は基本的には計画促進。県の環境会議の結論待ちの段階で、今後、どう展開するか、注目される。 千葉市長の環境省への要望は、三番瀬や行徳の海の自然再生と最小限の埋め立てに対して理解を求めることなどが主眼。また、県知事への要望はもっと具体的で、漁港の整備や人工干潟の造成、直立護岸の改修、第一終末処理場の都市計画の廃止などについて言及している。

 2期埋め立て、三番瀬問題と行徳臨海部の問題は、複雑にリンクし合っており、一挙に解決するのは、きわめて難しい。しかも、その解決の大本となるのが埋め立て問題だ。

 「埋め立て促進」を前提にした論議が市民団体から批判されるように、埋め立て計画を一旦白紙に戻し、その後に緊急的な問題を解決し、改めて「埋め立て」を計画していくことが、必要ではあるまいか。

  「行徳臨海部まちづくり懇談会」実質審議へ

 行徳地域の臨海部の街づくりや都市整備を考える「行徳臨海部まちづくり懇談会」が2回目の会議と現地見学会を、3月3日に開いた。この懇談会は、市川2期埋立計画やそれに関連する塩浜駅前の都市再開発、現在の直立護岸問題、ゴミの不法投棄などについて、意見交換などを行う。
 委員には、専門家の他、市民団体からも選ばれたが、意見が対立するのは必至。実際的な解決になるのかどうか、疑問視する声もある。


◇懇談会の委員
○学識者
 西村幸夫(東京大学工学部都市工学科教授)、川口有一郎(明海大学不動産学部不動産学科教授)、風呂田利夫(東邦大学理学部生物学科教授)
○自治会
 松沢文治(行徳地区自治会連合会会長)、歌代素克(南行徳自治会連合会会長)
○市民団体
 佐野郷美(市川緑の市民フォーラム事務局長)、安達宏之(三番瀬フォーラム市川事務局)、丹藤翠(行徳まちづくりの会代表)、田上昇(行徳野鳥観察舎友の会)
○漁組
 平野寅臧(行徳漁業協同組合組合長)、宮崎太三郎(南行徳漁業協同組合専務理事)
○企業・関係機関
 米山精次(塩浜再開発協議会会長)、杉浦康司(市川青年会議所副理事長)、竹石十四雄(都市基盤整備公団千葉地域支社総合企画室室長)、土屋光博(市川市助役)

 三番瀬問題で、沼田知事に要望書  

 千葉市長は、県知事選挙が始まる直前の2月26日、市川2期埋め立て問題について、沼田知事に要望書を提出した。基本的には県の見直し案を評価するとともに、新たに問題となっている直立護岸の崩壊や市川塩浜駅前の再開発などについて改善方を求めている。


◆要望書の具体的な内容

 1.市川2期埋立計画の促進について
 本市の海と行徳臨海部の課題を早期に解決するため、市川二期埋立計画の実現を促進していただきたい。
 2.漁業の振興について
 近隣の埋立事業に伴う潮流の停滞や人工澪の存在等によって、漁業環境が経年的に悪化し、市川市管内の漁業はきわめて不安定な経営を強いられてきた。また、漁港は永く暫定的な状態に置かれ、漁業操業や漁業維持、発展に大きな影響を及ぼしてきている。漁業環境の改善・修復や適切な漁港の整備などにより、早急に漁業の振興を図り、経営の安定化に協力していただきたい。
 3人工干潟の造成について
 潮流の停滞解消による漁業環境の改善をはじめ、水質浄化作用の向上や自然とのふれあい及び学習の場などの多様な機能が期待できる、穏やかな勾配の、より規模の大きい人工干潟を造成していただきたい。
 4護岸の改修について
 老朽化して危険な状態になっている直立護岸については、県の責任において送球に改修していただきたい。また、暫定的な状態となっている海岸線(海岸保全区域)を明らかにしていただきたい。
 5市川塩浜駅周辺地区の再整備について
 埋立計画への安全で快適なアクセスと、埋立計画地と一体となった土地利用の確保のために、市川塩浜駅周辺地区の再整備について協力していただきたい。
 6行徳近郊緑地特別保全地区(行徳鳥獣保護区)の再整備について
 埋立計画の遅れとともに暫定的な状態に置かれてきた行徳近郊緑地特別保全地区(行徳鳥獣保護区)の本格的な再整備について、国の協力も得ながら進めていただきたい。
 7江戸川第一終末処理場都市計画決定地の無秩序な残土堆積問題の解決と適切な市街地整備の実施について
 現江戸川第一終末処理場都市計画決定地は、市川二期埋立計画の見通しが明らかになった時点で処理場の都市計画を埋立計画地に変更するとしながら、昭和48年以来、30年近く都市計画の制限を受けてきた。そのため適切な土地利用が図れず、無秩序な残土堆積の問題を引き起こしている。近隣住民は、長い間、砂塵などによる悪い生活環強のもとに置かれているので、早急に都市計画の制限を外し、市、地権者とともに県が中心となって市街地整備事業を促進するとともに、スーパー堤防事業を活用した防災公園等の環境整備を進めていただきたい。
 8自然環境の保全再生のための法的措置について
 埋立計画地以外の海域について、漁業の継続を前提としたより良い自然環境を形成するため、行徳近郊緑地特別 保全地区、江戸川放水路河口域等臨海部の水辺とともに、国設鳥獣保護区及びラムサール条約登録湿地等の法的措置について、国と協力して検討を進めていただきたい。特に、行徳近郊緑地特別 保全地区は、渡り鳥の飛来地を確保するために設置したものであり、現在、より良い環境となるよう整備に努めているので、当初の目的を達成するため、先行して手続き等の取り組みを進めていただきたい。