2005年11月に行われた外環道路・小塚山トンネルに関する説明会 

==外環問題 2009年==

◆これまでの記事

◆建設反対を訴える地元住民

◆国土交通省による設計用地説明会

●外環予定地の遺跡調査でも意見書 外環反対連絡会

 外環反対連絡会は、外環計画地内で行われている遺跡調査に関して、北下遺跡や道免き遺跡の埋蔵文化財について、それらの重要性を訴える意見書を、6月30日に千葉県教育委員会教育長に対して提出した。意見書では、大量の墨書土器や人面墨書土器などが出土した北下遺跡の重要性を指摘し、また、道免き遺跡についても大型の木組み遺構や自然遺物などの詳細調査の実施を訴えている。(2009/07/05)

◆意見書 外環道路計画地域における埋蔵文化財の扱いについて(2009年6月30日)=抜粋=

 東京外郭環状道路(外環道路)千葉県区間計画用地地域には多数の遺跡地区が含まれており、それらの取り扱いについてはいずれも慎重を期すべきではありますが、特に国指定遺跡堀之内貝塚と関連する道免き遺跡、下総国分寺遺跡と関連する北下遺跡については文化財保存全国協議会が2007年度総会の議決により、関係者に保存を含めた慎重な対応を求める要望書を提出しております。道路事業者である国土交通省と東日本高速道路株式会社はこの2月10日に国土交通大臣宛に土地収用法による事業認定の申請を行いましたが、上記二つの遺跡は未だ広範囲の調査対象域を残しているだけでなく、これまでの調査結果の分析や今後の調査結果によってはさらに調査対象域を広げる必要が生じる状況にあります。こうした両遺跡の調査、保存および調査結果の公表などが土地収用事業認定等、今後の道路事業推進の措置によって妨げられることのないよう、最近の調査状況を踏まえ意見書を提出します。

1 北下遺跡について
(1-1)下総国分寺遺跡のある台地東側斜面から国分川に接する地域にまたがる北下遺跡については国分寺の瓦を焼いた窯跡や梵鐘鋳造遺構、金属加工跡の発見に加え、2008年度調査区域である国分川沿いの低地部分で9世紀と推定される流路の跡が確認され、その流路跡から杯を中心とする大量の土器が出土したと担当作業事務所より聴いています。(中略)教育委員会が今回の発見の事実を一般市民に公表しないまま、既に出土した流路が壊され、埋め戻されてしまったことは大変残念なことですが、今からでも早急に発見の事実を公表し、公開できる出土物を公開すべきだと考えます。
(1-2)今回の発見により斜面下の低地部は、祭祀あるいは特別な行事が行われた場所として評価し直す必要が生じます。(中略)他地域の例ではこうした場所から建物跡や船着場的施設の跡が合わせて発見された例もあり、調査範囲を広げ、出土した流路の及ぶ範囲を確認し、周辺を慎重に調査する必要があります。
2 道免き遺跡について
(2-1)道免き遺跡についてはすでに10年余にわたって調査が続けられ、この間多数の土器片集積、木製品などが各所で出土していることが伝えられています。特に2005年度の調査ではトチノミの灰汁抜き作業などを行ったとみられる大型木組み遺構をはじめとする幾つもの遺構と、それらと関連した多数の遺物が出土しているとされています。しかし、こうしたこれまでの調査結果の全貌はいまだに公表されていません。(中略)道免き遺跡は旧石器時代に造られた谷が埋もれたもので、調査範囲が広いだけでなく、表土の下の地形が極めて複雑であることがこれまでの調査で判明しています。また、周辺の台地上には異なる時代の多数の遺跡があります。これまでの遺物や遺構の出土状況と谷の地形の関係を照合するとともに、台地上の周辺遺跡との関係を中間的に総括し、今後の調査に生かしていくべきだと考えます。
(2-2)これまでの調査で道免き遺跡地域には豊かな地下水があり、その結果、過去の自然遺物が極めて良好な状態で保存され、その期間は1万年にも及ぶと言われています。東京湾周辺地域で、このようなまとまった自然遺物の堆積地は他に例を見ないと思われます。(中略)道路が計画通りに建設されれば、地下水の状況は一変し、これら自然遺物は完全に失われることになります。同じ外環道路に当たった埼玉県の赤山陣屋遺跡は県教育委員会は自然遺物についての調査班を設け調査に当たった例もあり、道免き遺跡についても早急に調査班を作り、自然遺物について総合的な調査を行うとともに、少なくとも一部は後世の研究のために保存することを検討すべきだと考えます。


●土地収用事業認定の中止を――外環反対連絡会が国交省に申し入れ

 外環道路計画に反対する「外環反対連絡会」(世話人代表・高柳俊暢)が6月24日、国土交通省の土地収用管理室の課長補佐と会見し、外環道路の土地収用事業認定に対し、反対を表明するとともに、事業認定を行わないよう求める申し入れを行った。(2009/06/26)

◆申し入れ書(2009年6月24日)

 2月10日付けで貴職ならびに東日本高速道路株式会社社長名で申請があった外環道路(国道298号、高速自動車国道東関東自動車水戸線)新設ならびに関連工事についての事業認定を行わないよう求めます。
 理由
 外環道路については環境影響評価において指摘された課題が未解決のまま残されており、これらに対する対応について公害紛争処理法に基づく調停が千葉県公害審査会において継続中です。上記課題の中にはジャンクションやインターチェンジなど特殊部周辺部への影響予測の検証や長期に安定的に環境保全目標が達成されるような大気汚染対策、騒音対策の必要性が含まれており、これらが解決されていない状況での詳細設計、事業計画により事業認定することは適当ではありません。
 起業者らは外環道路が公共性の高い道路であるとしていますが、高速部分である東関東自動車道路水戸線高谷JCT〜三郷ICのB/Cは起業者自らの評価でさえ1.0となっています。北海道など地方の道路はB/Cが1.0以下であることを理由に凍結され計画の見直しが行われていることを考えれば外環道路についても計画の見直しが必要で、少なくとも従前の計画のままでは土地収用法を適用してまで事業を推進するという高い公共性を主張できる根拠はありません。
 起業者らは上記のB/Cを計算するに際し、時間短縮効果が関連道路、約40万キロメートルに及ぶとして計算していますが、日本全国の県道以上の幹線道路(高規格道路、国道、県道)の総延長は20万キロメートルに過ぎず、起業者側は「都市計画道路のような全国主要市町村道を含むネットワークである」と説明しています。もちろん起業者が「外環千葉区間の建設が北海道や九州の市町村道の交通緩和にまで貢献する」という常識外れの主張をしているわけではありませんが、実際にどの範囲の道路まで効果がおよぶかが示せないでいることは事実です。こうした評価の在り方では、無理やりB/Cを高めるに関連道路を広くとっていると批判されてもやむを得ません。しかもこうしたB/Cの根拠データーは事業再評価監視員会の資料として提出されておらず、起業者らが「事業継続について監視員会の承認を得ている」と主張しているとしても監視員会は十分な事業継続の根拠を説明されないまま継続を承認したと判断せざるを得ません。
 埼玉県内で供用されている国道298号は交通事故多発道路となっています。
 国土交通省関東地方整備局は2007年5月に管内の死傷事故多発道路として死傷事故率が300件/億台キロ以上の道路区間(レッドゾーン)、100件/億台キロ以上の道路区間(イエローゾーン)を指定しているが、埼玉県内では47か所のレッドゾーン、イエローゾーンのうち「さいたま文蔵地区」など実に22か所が国道298号の区間です。
 起業者らは事業認定申請書の中で松戸市内や市川市内で交通死傷事故が多いことを取り上げ外環道路建設の必要性を強調していますが、上記のような埼玉区間の状況については全く触れられておらず、記述が一面的であることから、起業者らは釈明が求められます。
5 首都国道事務所による用地買収において暴力団関係者に対し数億円規模の過払い補償が行われたことが2005年の読売、朝日の二紙で大きく報じられ北側国土交通大臣(当時)もこれを認め「国土交通省としての調査も行い、関係者の処分も行う」と記者発表していました。しかし本件はその後、埼玉地検が関係者を不起訴処分とし、それ以降、国民に対する国土交通省による説明は何ら行われておりませんでした。このことは公聴会においても公述人から指摘を受けましたが、去る6月16日の私達と国土交通省との交渉でも取り上げられ、公共用地室用地調整官より「当該、暴力団関係者に対し、過払い分の補償費の返還を求める民事訴訟を検討中である」との言明がありました。しかし、そもそもどうしてこのような過払い補償が行われたのかという事実経過や国土交通省側のだれに責任があったのかなどは一切明らかにされませんでした。これらのことが明らかにされ、再発防止に向けての姿勢が示されなければ本問題は決着済みとはなりません。事業認定は起業者らに「正当な補償」を根拠に計画に反対する住民に立ち退きを迫る権限を与えるものですが、このような不明朗な補償を行った事件が決着しないまま、問題を起こした起業者に対しそうした権限を与えるべきではありません。
6 これまでの外環関連工事の受注落札率が異常に高いことが明らかになっています。例えば小塚山トンネルは97.33%、国分試験工区南地区は99.97%です。これらの落札率はいわゆる談合が行われていると判断すべきレベルにあり、外環道路の事業が極めて不明朗な形で行われていることを示すものです。ところがこうした不明朗な落札経過について実態調査さえ行われていないのが実情です。こうした状況では事業認定をすべきではありません。


●外環道路は凍結の対象外 「費用便益比は1.0」でも重要な道路?

 市川市内を縦断する計画の外環道路は、巨額の費用をかけても、その便益は1を超えないことが国土交通省の評価で明らかになり、計画に反対する「外環反対連絡会」では事業の進捗を厳しく批判している。また、この費用便益比が1以下となった地方の道路計画については、凍結して再検討する意向を示している国土交通省が、外環事業は凍結の対象にしなかった。(2009/04/18)

◆外環反対連絡会・高柳俊暢世話人代表の表明(2009年3月31日)

   国土交通省による費用便益比(B/C)点検に基づく道路見直し結果について
 国土交通省は本日、新たな交通需要予測と道路事業評価手法の見直しによる全国主要道路(直轄国道、高規格道路)事業区間の費用便益比(B/C)点検結果を公表し、B/Cが1.0以下となった道路18路線について事業を凍結し、今後、中止を含めて事業化のあり方を再検討する方針を明らかにしました。
 外環道路の高速専用部(東関東自動車道水戸線市川〜三郷間)のB/Cが1.0となったことは既に皆様にお知らせしてありましたが、本日の発表でもそれが確認されています。しかし一般国道231号、232号、278号など外環道路に比べれば事業費の小さい。地方の国道事業が事業凍結となっているにも拘わらず、事業費1兆95億円の外環道路は凍結の対象となっていません。この金額は東日本高速道路会社が進めている400km余りの高速道路事業費1兆4000億円の実に三分の二にあたります。外環道路は東日本高速道路会社が「借入金で建設し通行料で返済する」という建前で事業化されていますが、その投資限度比率(投資した費用が回収できる割合)は11%と評価されており、回収できる見通しはまったくありません。それにも拘わらず、事業化が進められているのは「広域的に重要な道路である」とする國の方針に基づくものです。今回の結果はそうした道路が「実際には便益が巨大な費用に見合ったものとならない可能性がある」ことが国自身定めた評価方法で明らかになったことにほかなりません。現在、東日本高速道路会社は国の方針を受け土地収用事業の認定申請を国土交通大臣に行っていますが、地方の道路事業を凍結する一方、外環道路のような巨額な費用を伴う道路事業を見直さないのでは根本的な見直しにはならないとして事業認定阻止を国などへの働きかけを強めてまいります。


●外環道路の事業再評価で、費用対便益比はついに1.0まで低下

 外環反対連絡会によると、3月13日に行われた東日本高速道路会社担当道路事業に関する事業再評価監視委員会で、外環道路の高速専用部の費用対便益比が、1.0まで低下したことがあきらかになった。平成15年に行われていた事業評価では、1.25だったのが、今回は建設費用と便益額の比率が同じという結果。当時の冬柴・国土交通大臣は「費用対便益比が1.2以上なければ、道路は造れない」という答弁をしていた。(2009/04/18)
 今回の再評価の対象となった路線は、外環道路のほか、北海道縦貫自動車道(大沼〜国縫)、日本海沿岸東北自動車道(中条〜荒川)、常磐自動車道(常磐富岡〜新地)など9路線。そのうち、道路を建設した場合の便益と建設費用の割り合いを示すB/Cが最高だったのは、北関東自動車道(伊勢崎〜岩舟)の4.8、次いで常磐自動車道(山元〜亘理)の3.0で、8路線は1.2以上だった。
 ただ、外環道路(正式には、東関東自動車道水戸線、三郷〜高谷JCT)だけは、1.0という最悪の結果。道路の完成によって生じる便益が、建設費と同じという結果で、それだけ建設に費用がかかり過ぎるという事業という評価となっている。

【資料】◆外環反対連絡会ニュース 2009年3月17日発行

 東日本高速道路会社が事業再評価で、外環道路の費用に対する便益の比B/Cを1.0と報告
 去る3月13日、東日本高速道路会社の担当する道路に関する事業再評価監視委員会が開催され、外環道路を含む高速道路9路線に関する事業再評価の結果が報告されました。
 この中で外環道路の高速専用部分(東関東自動車道路水戸線 三郷インターから高谷ジャンクション間)を建設した場合の便益と費用の比(B/C)が将来交通需要予測の減少や道路事業評価の見直しの結果「1.0」まで下がったと報告されたことがわかりました。
 昨年、国会で国土交通大臣は「B/Cが1.2以上でなければ道路は造れない」と国会答弁
 道路建設における費用とは建設費と建設後の維持管理費です。便益は道路ができることによって時間短縮や費用短縮、交通事故減少などを一定のやり方で金額に換算したものです。
 もちろん道路建設による便益が費用を上回らなければ道路を造るべきではありませんが、遠い将来のことを含めた予測ですから、B/Cが1では便益が費用を上回るかどうかの確率は半々ということになってしまいます。このため昨年の国会で冬柴国土交通大臣(当時)は「B/Cが1.2以上なければ道路は造れない」と答弁しました。この国土大臣の言葉どおりなら、今回、外環高速専用部のB/Cが1.0まで下がったことは「外環は造れない」ということになったということです。
 外環は東日本高速会社担当 全事業費1兆3,991億円の3分の2以上を費やし、採算性は全国最低レベル
 外環道路の建設費は三郷インターから高谷ジャンクション間20kmで1兆95億円(松戸〜高谷は7,571億7,600万円)と膨大です。外環道路のB/Cが低いのはこの膨大な建設費のためです。東日本高速道路会社は2020年までに借入金によって412kmの高速道路を建設し、その事業費合計は1兆3,991億円です。外環道路が東日本高速道路会社担当事業のいかに大きな割合をしめているかがわかります。しかもこれだけの費用がかかるのに、外環の採算性は全国ワーストワンクラスで料金収入で回収できる割合(投資限度額比率)はわずかに11%にすぎません。
 「民営化会社」である東日本高速道路会社が自力でこうした道路を建設することは不可能で、時期をみて税金を投入することは確実と見られてきました。しかしそうした措置も投じる費用を上回る便益が確実に得られて、初めて正当化されることであり、事業者の立場に立った算定でさえB/Cが1.0まで下がればもはやそうした正当化が成り立たないことになります。
 土地収用の事業認定など論外
 国と東日本高速道路会社が2月10日に外環道路の土地収用事業認定を国土交通大臣に申請しました。外環のB/Cが1.0まで落ち込んだことで、「公共性」を理由に住民から住み慣れた家や土地を奪う正当性は全くなくなりました。