昭和31年10月(4号)


【裏面】

私学の教育

古賀米吉    

 ものの不自由な時は配給品や統制品でがまんする。ものが出廻ってくると、食料品や衣料品に対しても、各人各様のこのみがあって配給品や統制品では満足しなくなる。あたり前の話である。
 然るに人は、子供に与える教育について、配給もので満足するかに見えるのは、どうした事か。小学校中学校の教育、さては高校の教育まで、地域的に統制され配給されるのが、日本の実情ではないか。ネクタイ一本買うさえ、これかあれかと思いわずらう人が、子供の与える教育には、何のえりこのみもなく、配給の教育でがまんするとは、さてさて、えらく鈍感な話ではある。
 私学が売り出す教育は、配給品でもなく統制品でもない。具眼の親たちを待つ特別品である。よければ売れ悪ければ売れぬ。私学の経営は、だから、真剣勝負だ。


昭和31年当時の第一体育館

◎母校市川学園便り

○鉄筋新校舎 体育館完成
母校では来春に控えた創立20周年記念事業の一環として、昨年9月に着工した鉄筋2階建校舎8教室を本年3月に、又去る5月に着工の第一体育館(建坪300坪)は9月初旬にめでたく完成。尚便所は水洗式になりました。

○校長先生の御病気
去る7月30日、胆石症の為、東京国立第一病院に入院された古賀校長先生は9月10日、大槻博士の手術を受けられたが、結果は非常に良好で去る9月26日御退院、10月10日より御出校された。

○理事長吉田秀弥氏御死去
氏は昭和13年以来理事又は理事長として母校発展の為御活躍下さいましたが、昨年11月16日糖尿病の為、御他界されました。御冥福を祈ります。尚後任理事長は古賀校長の兼任。新に京成電鉄専務取締役川崎千春氏理事に就任。

○元会計の目黒先生御死去
先生は昭和16年以来市川学園の会計を担任されて、28年9月退職されましたが、去る5月25日老衰の為死去された。行年77歳。

○渡辺照男先生御退職
本年4月あの小躯とそれに似合わぬ大声とで知られた渡辺照男先生(数学)が御一身上の都合で職員生徒一同に惜しまれつつ、学校を去られた。先生の新しい職場は墨田区立鐘ヶ淵中学校。

○秋の体育祭(10月21日)
恒例の秋の体育祭には卒業生の出場する競技種目も予定されて居りますので、御誘い合せの上、奮って御参集下さい。

○同窓会名簿(20周年記念号)は来年発行の予定ですが、係は諸兄の近況が判らなくて困っています。大至急左記事項について御通知下さい。
(1)本校卒業後の学歴
(2)現在の勤務先、その住所、電話
(3)現住所(下宿の場合は自宅も)
○尚本校に在職されて他へ転勤された諸先生の御近況を御存知の方は御知らせ下さい。


【表面】

◎創立20周年記念事業募金

 母校市川学園は創立20周年を来年度に控えて益々隆盛の一途を辿りつつある事は、誠に御同慶の至りであります。
 さて、本同窓会も母校の隆盛を祝し、尚一層の発展を願う意味から、20周年記念事業への全面的参加を決定し、諸兄の御協力を御願いする事となりました。
 母校では20周年記念事業の一部として別記の如く鉄筋コンクリート校舎並びに体育館を既に完成し、その偉容を誇って居りますが、更にそれを完全にする為に諸兄よりの御寄付を仰ぎ、体育館付属品等を本会に負担させて頂いて母校発展の一助としたいと思います。就きましては、甚だ勝手ながら手続き方法は左記の如くさせて頂きたいと思います。
 一、金額 500円以上
 一、締切 昭和32年4月15日
 一、送金方法 (一)成可く振替(東京121694番)
        (二)現金書留
        (三)為替
        (四)御持参又は生徒に御委託下さっても結構です。
 母校の今後の隆昌の為、諸兄が奮って御応募下さる事を期待致します。