同窓会だより 第11号 1986.12.15


※表紙は、創立50周年記念会館の予想図


 創立50周年に備えて
   名門は一日にしてならず

同窓会会長  山本 幸雄    

 我らの市川学園は来春、創立50周年を迎えることになりました。真に御同慶の至りでございます。ただ古賀校長先生のお喜びのお顔を拝すことが出来ないことが大変残念に思います。
 さて、第1回の卒業生を代表して創立当時を偲んで、50年の歳月の重みを考えたいと思います。昭和12年の4月に時遅しとばかりに市川学園は慌ただしく出航するようにスタートしました。同年3月初旬に私共第1回生の入学試験が行われました。その当日、試験場らしき建物を壊すのに苦労した記憶があります。なにしろ目差す付近(現在の所在地と同じ)は田圃と畠のみで、八幡方面から来ると境川(真間川)にかかっている橋があり、その脇にポツンと1軒屋(私共はマンダラの家と呼んでいた)ぐらいしかありません。標示の立札でどうにか目的の所に行けましたが、なんと驚いたことに農家の馬小屋のような亦納屋のような古ぼけた建物が1軒あるだけでした。そこが私共の試験場でした。土間に古めかしい机が1つ置いてあり、机の所に古賀先生と菅田先生が腰掛けて居られ、私共はその前に立ったままで算数と国語の試験、簡単な口頭試問を受けました。そいして、無事入学となり、4月15日の入学式に心弾ませて登校しました。試験当日校舎らしき建物1つなく私なりに心配しておりました。が、着いてみると田圃の向うのた畠の上にバラックの平屋が出来上っておりました。3部屋に分かれていて入口より教員室、真中が音楽教室兼物置で、その奥が教室になっておりました。授業はそこで行われたのです。当時の先生方は、私達の勉学はもとより親父さん或いは兄貴の様に様々の面倒をみていただきました。教室の黒板は壁にはめ込んだものでなくスタンド式で、字を書く度にカタカタ音がしたことを覚えています。冬の寒い時にはストーブ代りにトタン内張りの木製火鉢を用い、山のように木炭を入れて暖をとりました。その周囲に弁当箱を置き暖めると、4時間目頃から弁当箱から様々の良い香りが漂い、腹の虫はグウグウ生唾ゴクリで授業に身が入らず困ったものでした。入学募集の時期が遅かったことから32名の少人数であったわけですが、そのため団結力が強く仲は良く楽しく5年間を過ごしました。一口に50年と申しますが、真に短かったような亦大変長かったような気がしております。この50年の間に諸先生方の御熱意とご協力によることは勿論ですが、同窓諸兄の社会に於ける御活躍とその精華、在校生諸君の奮闘などにより、名門市川学園として今日成し得たのではないかと思います。
 最後に皆様へ同窓会よりお願いがございます。「創立50周年記念会館」の建設が具体化され、来夏6月には竣工する予定です。過日行われました幹事会に於いて寄付事業の内容が可決されました。それについて趣意並びに手続きの要領など別紙に同封いたしましたので、宜しく絶大なご協力をお願い申し上げます。


 ご挨拶

名誉会長・学校長 藤崎 慶治    

 初冬冷気の候、同窓各位には益々ご健勝、それぞれの分野においてご活躍のこととお慶び申し上げます。
 母校も創立50周年を控えこれを記念するため、昨年5月、「創立50周年記念行事企画委員会」を設置し、目下着々進行中であります。
 さて本年3月6日の第38回高校卒業式には、662名の卒業生が、又3月14日の第39回中学校卒業式には、452名の卒業生が、それぞれ進路に向かって元気一杯巣立って行きました。本年は大学進学において現役及び浪人の諸君が大いに頑張り、国公立大は昨年より50%弱、私大合格者は10%強の増加という輝かしい成績を挙げています。これは生徒諸君の努力、教職員の熱意が結実したためと思います。
 また4月9日には中学校294名・高校688名の新入生を迎え、中高合同の入学式を挙行しました。わが学園の輝かしい伝統とみどりゆかたな教育環境とに接して、新入生の瞳は生き生きと輝き、学園に入学できたことを心から喜び、決意に満ちていると見えました。各位が残された伝統は、在校生に無言の教育力を与えていると思います。後輩の健在は各位にとりましても誇りと自信をもって活躍できる大きな支えであろうと思います。
 今世間では教育の問題について様々な論議がなされております。臨教審の設置にみられるように、問題は山積されており、加えて学齢人口の急増急減という激動期を迎え、特に私学においては、それにどう対応するかというのは至上課題になっています。私どもはこれらの課題をしっかり受け止め、古賀先生の建学の精神・教育理念をふまえ、教育の質的充実と教育環境の整備につとめ、教職員が一致協力して教育実践に精進したいと思います。
 教育の問題は複雑多岐にわたり、一朝一夕で解決できるものではありません。教育の仕事は困難で息の長い仕事です。本校の「よくみれば精神」をもって、一つ一つ根気強くやってゆかなければなりません。詰まるところ、よき環境で、よき教師が、よき教育を実践し、あらゆる教育活動を通して生徒の可能性の発現に努力してゆくことであると思います。
 今後ともご支援、ご協力をお願い致します。


 50周年記念事業趣意

指名理事 花嶋 省三    

 昭和12年4月学園創立以来、半世紀50年の大きな節目を明年迎えることになりました。この50周年を機に古賀先生の建学の精神を継承し、学園の発展充実を図り、来たる新時代に備えることなどを趣意として記念事業を行うものです。
 一、50周年記念館建設
 一、創立記念式典
 一、「古賀米吉伝」刊行
 一、「市川学園50年の歩み」出版
 生前中に、古賀先生は「同窓会専用の部屋を作りたい」と常に口にされていましたので、先生がおられましたなら「卒業生のみなさん、待望の同窓会室が出来ます。私は大満足です。」とおっしゃったであろうと思います。そうしたことから記念館内に同窓会室を設けることになりました。同窓生の諸君、クラス会や年次会やクラブOB会などに御利用下さい。記念館竣工後のご来校をお待ちしています。
 尚、記念館の建設費については4億7000万円を要します。同窓会幹事会に於いて建設費の一部を同窓生も協力する旨が決定された連絡を学園は受けました。感謝申し上げる次第です。


昭和56年の学校全体


 創立50周年記念式典

 50年の大きな節目を迎えるに至り、古賀先生始め多くの教職員、卒業生諸君のご尽力により、名門校としてようやく世の中に評価されるようになって参りました。御同慶にたえません。来年の50周年を契機に一層の飛躍を期すべく、学園の総意をあげて取り組む所存です。以上趣意といたしまして左記通り式典挙行予定としお知らせします。
☆式典日時 昭和62年11月7日(土)
  式典 午前11時(予定)
  祝賀会 午後12時30分(予定)
☆式典会場 市川学園(図書館講堂並古賀記念体育館)
☆記念事業
 一、50周年記念館建設
 一、創立記念式典
 一、「古賀米吉伝」刊行
 一、「市川学園50年の歩み」出版


 創立50周年記念出版

 一昔前の図書館報第32号(昭和38年)古賀先生執筆の一部に「人間は虚無から創造することはできない。未来への情熱がいかに烈しくても、現在に生きている過去をふまえずに、未来へ出発することはできない」過去をふまえることは主として読書によらなければならない。総じて読書しない人は、文化遺産の相続権を放棄するようなものだ。」と書かれています。
 今、学園の建学の精神を継承している私達は、連続50年の歳月を理解しなけれななりません。ここに創立50周年の記念出版を世に送る次第です。
 ☆古賀米吉伝 (本校の歴史と共に歩まれた古賀先生の生涯について稲田伊之助先生が執筆され、脱稿し編集中です)
 ☆50年の歩み (山崎秀雄先生始め他6名を委員に任命、写真を中心に資料を見る50年の校史を編纂中。)
 ☆われらの研究 (生徒諸君の研究論文を石井先生中心に、編纂中。)


 同窓会幹事会報告

 昭和61年度、市川学園同窓会の理事会、並びに幹事会が、7月5日土曜日に母校で開催された。理事会は午後1時より、校長室で山本同窓会長の議長のもとに行われた。引き続き、午後2時より、本館会議室において、49名の出席者を得て、幹事会が開催された。
 山本会長により開会の辞、及びご挨拶があり、続いて名誉会長である藤崎慶治校長先生より、ご挨拶と学校の近況についてのご説明があった。その後、議題に基づいて各係からの報告、会員諸氏からの質議などがあり盛況のうちに無事に幹事会を終えることができた。以下議事の内容について報告しておく。
 幹事会は山崎秀雄(高6)さんの司会で始まり、議長に北原敬市(旧2)さん、書記に安中観史(高5)矢谷勝也(高18)さんが選ばれて、討議に入った。
一、昭和60年度決算
 会計係の厚川正和(中9)さんから、決算の報告がある。山本康夫(高4)会計監事より「異議なし」との姦さ報告があり、原案通り承認された。
二、昭和61年度予算
 会計係の厚川正和さんから、予算案についての説明がある。木内弘司(高10)さんより「高校生の人数について相違ないのか」との質問があり、会計より「市川中の卒業生を除いた数であり相違ない」との説明がある。原案通りに承認された。
三、昭和62年度総会開催について
 幹事の木内弘司さんより「総会をどのような方法で実施したらよいのか、ご意見を伺いたい」との発言があり、議論したが結論は出ず、幹事に一任することで承認された。
四、同窓会会員名簿の発行
 名簿係の辻秀幸(高10)さんより、同窓会名簿発行の件についての説明がある。転居先不明、住所変更の郵便物が戻ってくるので、その都度、事務局に一報して欲しいとのことである。
五、市川学園創立50周年記念事業について
 花嶋省三(旧1)理事長代行より、記念事業の内容についての説明がある。式典は、昭和62年11月7日に図書館講堂で行ない、懇親会を古賀記念体育館で催す。事業としては、50周年記念館(仮称)を現在あるプールの跡地に建設する。建物は2階建てで、古賀記念室、同窓会室、音楽室、大会議室等からなり、屋上にはプールを設ける。
 又、出版事業としては、講師の稲田伊之助先生に、本学園の創立者古賀米吉先生の自伝を執筆していただく。さらに、50周年の記念として「50年の歩み」という写真集を出版する。
 山崎秀雄編集長より「50年の歩み」についての詳細な説明と、資料の提供を求める発言がある。
六、その他
 北原敬市さんより、50周年記念事業にあたり、基金の募集をしたらどうか、との提言があり審議の結果、募金委員会を設置し、寄附金等の募金、運営を行なうことで承認される。
 石原昇三(高10)さんより、本年4月に、長太郎カントリークラブで行われた同窓会ゴルフコンペについての報告があり、その際の剰余金70万円が会長に預けられる。
 その後、会長により閉会の挨拶があり、懇親会となった。