なずな2000年9月号

 

    新しい学園を求めて

理事長  古賀 正一(高7回)

 同窓会の皆様には、日頃、学園に関し深いご理解と暖かいご支援をいただき、心からお礼申し上げます。既にご報告してありますように、21世紀の新しい市川学園のため、第3校地を拡張し、新校舎建設移転を計画しております。私立学校は今まさに、少子化、教育改革、規制緩和、IT革命、グローバル化の大きな波の中で、生き残りをかけた競争が求められております。しっかりした特色のある教育方針をもち、時代を先取りした変革を推進し、真に顧客志向にたった、保護者や生徒から選ばれる学校でなければなりません。このためには経営陣、教職員共々自らを変え自らが努力を続けて行かなければならぬと、覚悟を新たにしているところであります。

1.学園は誰のためのものか(学園の価値の増大)
 今企業に於ては、ステークホールダ(利害関係者)の価値、特に株主価値を高めることが議論され、経営者にとり最も重要な指標の一つとされています。私立学校に於けるステークホールダは誰か。勿論、生徒や保護者、経営陣と教職員、卒業生や地域社会であると共に、学園を陰に陽に支えて下さる多くの方々でありましょう。学園の価値は、株主価値のように一意的に定められるものではなく、又、進学率や偏差値のように単純な指標だけで論ぜられるべきものでもありません。学園の基本教育理念の下に、顧客である生徒保護者から、この学校に入ってよかったと思われる輝きのある学園、尊敬される学園でありたいと思います。一人一人の先生方の生徒をよく見る力、知育徳育体育の全人的教育、真にこれからの社会に役立つやさしさとたくましさをもつ若人を育て続けることにより、学園の総合価値が増大すると思っております。又、卒業生を含む多くのステークホールダの方々から魅力ある学園として認められ、ご支援いただけることも極めて重要です。

2.不易と流行(守るべきものと変革すべきもの)
 不易流行は松尾芭蕉の俳句の基本理念であります。変えてはいけない基本を守り、時代や環境の変化やニーズの変化の波に対応して、変えるべきことには、勇気をもって挑戦することが必要です。学園の教育の基本、古賀教育の原点、創業の精神、公学に対する私学の独自性や自立性は、全く不変(不易)であり、むしろ今こそ新しさと輝きを増しています。
 古賀教育の原点、第2には、言うまでもなく次の3つであります。即ち、第一に人間は一人一人かけがえがなく尊いと言う「ヒューマニティにもとづく人間観」、第二に個性と持ち味を伸ばす「一人一人をよく見る教育」、第三に、つまる所、学校とは自分で一生涯学ぶ力をつける道場であり、自分で自ら学ぶ力と楽しみを覚えさせる「第三教育」を重視することであります。これらは当学園の変わらぬバックボーンであります。更にこの三本柱から求められるものは、自由と規律、権利と責任、基礎学力と基本的よき生活習慣、学力と共に健全な心と身体の増進、バランスのとれたよき人間、良識ある紳士淑女なるべき若人の育成であります。

3.新しい酒は新しい皮袋にもれ(新校舎建設)
 聖書のマタイ伝の言葉であります。新しい酒(新しい教育)は、新しい皮袋(新しい建物)にもろう、新校地での新校舎建設を、学園のドライピングパワー(牽引力)にしようと、教職員に強いメッセージを出しています。当初新校舎建設は、現校舎の地震対策がスタートでした。又、新しい器の建設は中身変わらずでは何の意味もありません。昨年から今まで教育改革の中身の議論を多くの教職員参加の下に行い、多くの作業チームをつくり、精力的に進めてきました。
 私がリーダーで、花嶋副理事長、校長、教頭を含む推進会議(ステアリング委員会)を意志決定機関とし、建設会社との精力的打ち合わせを行い、ほぼ基本的建物の骨格が固まってきました。建物の詳細は別の記事にゆずるとして、約八千数百坪の、新第三校地に地下1階・地上5階建て・総延べ建坪1万坪、緑に囲まれた環境と、先進的技術をもとに、開放的な近代的校舎を、平成13年着工、平成15年はじめに完工の予定で、設計を開始しました。ここでは、この校舎にもりこむ中身つまり新しい酒についてお話をします。ベターではなくベストの教育をめざす、中高6カ年一貫教育を推進する(中高ほぼ同クラス数)、男女共学を新校舎開校時からスタートする(男女比率検討中)、個性に合わせた学力の推進(コース分け・学際教育・総合学習)、IT時代にふさわしい情報化教育とトップクラスの校内情報化施設、第三教育の充実(第3教育センター・インターネットなど各種メディアの使用、新しい図書センター)、学力や受験合格県私立ナンバーワンと個性をのばす教育の両立、人間教育と心の教育の充実、そのためのカウンセラー制度の拡大、5日制への対応(意義ある土曜日)、新しい学校のアイデンティティー(制服など)、新校舎への新しい通学手段、他校との交流の活発化など多くの課題を校舎完成までに推進して解決する必要があります。最も大切なことは、経営陣、教職員の意識改革と共通理解、さらに新校舎建設と新しい学園づくりへの情熱でありましょう。保護者、生徒、同窓会の皆様のご支援ご協力を心から願う次第です。

4.自助努力(セルフヘルプこそ推進力)
 明治期に読まれたサミュエルスマイルズの「セルフヘルプ」(西国立志編:中村正直訳、自助論:竹内均訳)は、今の時代にこそ必要な基本の行動原理を示しています。学校も国も企業も、組織の一つひとつも、自助力、自立責任、自ら改革する工夫とたゆまぬ努力こそが、成功への道であります。特に私立学校は、自助の精神を忘れた所に進歩はなく、衰退の道しかありません。これからの私立学校は、特色を持った教育と自立の精神をもち、経営陣・教職員が力を合わせ、人並み以上の努力をすることが不可欠です。今までの成功にあぐらをかいてはおられません。前向きな危機意識を常にもち、世の中の動きと変化、他校の進歩のスピードに負けてはならぬと思っています。又明るいオープンな学園の風土づくりも重要です。

 4月より新校長として柴内恒氏を迎えました。当学園高校第9回卒業生でもあり、千葉大卒業後、千葉県での教育及び教育行政にたずさわれ、県立佐倉高校校長はじめ3つの高校の校長を歴任された方です。学園に新風を吹き込んでいただいています。
 又夏の校外学習施設の軽井沢学舎が古くなり、使用にたえぬため、新しい学舎を昨年買い求めました。某銀行の寮であったため、緑の敷地も広く、7・8月の生徒の学習期間以外は、同窓会の皆様にも是非ご利用いただきたく、学園の方にお申し込みいただきたいと存じます。インターネット時代こそ、自然にふれ、友情をあたため、夏の数日間先生との真の人間的ふれあいを深め学ぶことこそ、現代の教育、特に心の教育に不可欠なことであります。
 最後に柴内新校長就任紹介の折、全教職員にお出しした私のメッセージをご紹介します。
「全員の参画で新しい市川学園を創ろう。学園が何をしてくれるかを期待するのではなく魅力ある教育と新しい学園づくりに、各人がいかに貢献できるかを考え、力を合わせて実行しよう。」
 同窓会の皆様のご健勝、ご多幸を心からお祈りし、新しい市川学園づくりへご理解をお願いする次第です。



    新しい学園の創造に向けて

校長 柴内  恒(高9回)

 古人復た洛城の東に無く
  今人還た対す落花の風
   年々歳々花相似たり
    歳々年々人同じからず

 校庭周囲に咲き乱れていたサクラも散り、ツツジの色も既にあせ、野にフジバカマが咲く蘭秋の季節を迎えました。まさに「光陰矢の如し」であります。年度の変わり目は、この学校を去る人、送る人、そして送られる人様々でした。
 新年度から、市川中学校・市川高等学校の第7代校長を仰せつかりました柴内です。38年間、県職員として勤務してまいりましたので、私学との違いに戸惑いもありますが、公立学校での教員生活の経験と同窓生皆様のご鞭撻を頂いてその職責を全うしたいと想っております。私自身学園の卒業生ですし、私の次男も6年間お世話になりましたので、内情は多少わかっているつもりです。
 ご存じのように、市川学園は創立者古賀米吉先生が高邁なる建学の精神をもって昭和12年市川中学校として開校して以来、63年の歴史を有し、「よくみれば精神」と「第三教育」の教育精神のもと、卒業生2万6000余名を数える進学校です。卒業生の多くは、優秀な国立大学や私立大学へ進学し、各界に有為な人材を輩出してきました。この良き校風と伝統の上に立って、第2の創設期というべき新たな飛躍発展を図る時期を迎えつつあると思います。少子化の影響は避けて通れず、更に、21世紀は本格的な国際化、情報化時代の到来と相成り、新しい教育の時代が来たことが実感されますし、教育の量の時代から本格的な質の時代に入ったともいえます。
 新しい時代の要請に応えるべく、現理事長古賀正一先生を中心に、第3校地に新しい学園の殿堂を建設すべく、努力中です。平成15年には、インターネット、ミックスメディア等を活用した第三教育の更なる発展を目指し、地域社会に根ざした知的活動の拠点となる殿堂が完成し、新たな市川学園の発展の礎となります。 
 このような時期に、校長として着任しましたことの責任の重さを痛感していますが、幸い本校には新しい学園作りに熱心な先生方が揃っています。これらの教職員と手を携え、皆様のご協力を頂いて、学園の発展の一翼を担いたいと思っています。皆様のご指導ご鞭撻のほどお願いいたします。
 同窓会の皆様、学園はあなた方の活躍を見守っています。皆様一人一人の人生にとっても、まず市川学園のレッテルは離れることはないはずです。また、母校は母親と共に皆様の心のより所でもあると思います。是非ご自身の人生を悔いのないものとする努力を惜しまないでください。そして、いつまでも本学園の同窓会会員として母校を愛し、後輩を激励して下さい。



    ◆平成12年度常任理事会・幹事会報告

 去る平成12年6月24日(土)、市川学園50周年記念館会議室に於いて平成12年度「常任理事会」、引き続き「幹事会」が開催されました。
 司会は伊沢有一さん(高21)、書記は武井裕征さん(高42)、矢嶋崇好さん(高36)が担当しました。主な内容をご報告します。
○開会の挨拶 北原敬市副会長(旧2) ○議長 山本幸雄会長(旧1)
○新学校長挨拶 柴内恒…自己紹介(旧9)

(1)平成「11年度同窓会会計決算報告
 及川秀二さん(高31)より報告。監事の高橋隆彦さん(高15)より監査報告がなされ、承認されました。
(2)平成12年度同窓会予算審議について
 同じく及川さんより報告があり、可決されました。尚、「同窓会だより」を年2回発行として上乗せの支出の説明がなされました。(スペースの都合上、決算報告・予算案は「同窓会だより第2部で記載)
(3)新校舎建設の説明及び支援する寄付提案について
 ○花島副理事長(旧1)の提案説明
 昨年の幹事会では時期尚早ということでしたが、今年度は「新校舎の設計図」「建設委員会:京成建設との合同会議」などがまとまり、「建設費」の見積もりが10〜11月に、12月に「契約」へなどの報告がありました。さらに、新校舎建設の資金について、「私学振興財団」から10〜15億円を借り入れる予定の説明がなされました。次に2項目を提案されて審議を求められました。
 「劫初より造り営む殿堂にわれ黄金の釘一つ打つ」の気持ちで、一人一人が寄付で参加して頂きたいとした趣旨を熱意ある言葉で話されました。それには寄付に司る「委員会」の発足:設置の必要性を提案されました。
 ○山本会長さん(旧1)と江戸川茂さん(旧2)の両氏から同窓会費から5000万円寄付について提案されました。
(4)京成建設:岡田設計課長(高25)の「新校舎設計概略説明」
 第3校地の敷地・校舎図面〜設計説明・学園建設委員会との合同会議などが説明されました。
(5)審議結果…以上の説明後、「寄付金」「寄付金委員会(仮称)」が可決されました。
(6)質疑応答
 新校舎を現在地に建設しない理由・共学化・交通アクセスの便宜・地域社会の開放など活発な意見が出されました。
 新校舎建設の理解を深めて後、終了。
(7)その他
 16回ゴルフコンペ(平川カントリー)参加者150名などで盛大に行われた報告が、管田岳夫さん(高7)からありました。